悪意あるインタフェース・デザイン・パターンの一種でエンドユーザーをだまし、本人の意図または期待とは異なる行動を取らせる「ダーク・パターン」の米国やEUの規制強化に向けた具体的活動内容を検証

読者は「ダーク・パターン」すなわち、悪意のあるインタフェース・デザイン・パターンの一種で、エンドユーザーをだまし、本人の意図または期待とは異なる行動を取らせ、インタフェースの提供者に利益を与えるものを十分理解されてあろうか。 筆者は、最近の…

メジャーリーグベースボール(MLB)プレーヤー大谷翔平氏の通訳水原一平が「銀行詐欺」で告訴、起訴状などに基づき法的に見た事実関係の正確な再現を試みる

我が国のメデイアも詳しく報じているとおり、2018年以来、起訴状が明らかとしているように、被告である元通訳 水原一平はMLBスタープレーヤ 大谷翔平氏を信頼を極めて裏切ることを意図しており、スポーツ賭けでなくとも通訳の特性を悪用しようと考えて聞いた…

米国16州の包括的個人情報保護立法の最新動向から見たわが国の保護法改正の課題

筆者は、これまで米国各州の包括的個人情報保護立法につき解説してきた。例えば、最も厳しいとされるカルフォルニア州 、同州、オハイオ州、コロラド州につき取り上げてきた。 4月初め、ケンタッキー州議会は包括的なプライバシー法(H.B.15)(以下、「法律」…

英国の個人情報保護機関である英国情報コミッショナーはSNS等オンライン利用にかかる子供のプライバシー保護強化のための具体的施策に関し2024 年から 2025 年の優先事項「児童規範戦略」 を発表

筆者は去る4月2日のブログでフロリダ州、オハイオ州およびウタ州等の未成年者特に児童等のソーシャル・ メディア・ プラットフォーム利用にかかる厳格な規制州法立法につき詳しく解説した。 一方、英国の取組みを見ると、2024 年 4 月 3 日、英国情報コミッ…

ドイツ連邦データ保護法および連邦電気通信テレメディア・データ保護法 (TTDSG)の改正を巡り何が変わるのか、企業等は何に特に注意を払う必要があるのか?

2024 年 2 月 7 日、ドイツ連邦内閣は連邦データ保護法(Bundesdatenschutzgesetz :以下、「 BDSG」という)を改正する法案 (以下、「法案」という) を承認した。 この法案は今後、連邦参議院(Bundesrat:連邦レベルでドイツの16の州を代表する立法機関)…

フロリダ州、オハイオ州およびウタ州等の未成年者のソーシャル・ メディア・ プラットフォーム利用にかかる厳格な規制州法立法とそれらを巡る憲法違反裁判等の最新動向

フロリダ州では3月25日(月)、州知事ロン・デサンティス(Ron DeSantis)氏はSB 3法案に署名した。この法案は大まかにいうと、ソーシャル・メディア・プラットフォームに対し、14歳未満の個人のアカウント作成を停止する一方で、14歳または15歳のアカウント作成…

生成AIにおける人間(人力)のキュレーター(Human curator)の役割の神髄を明確化した新論文の意義

AI

昨今、生成AIの功罪を巡る議論が高まる中で、消費者保護から見たマーケティング活動の問題に関し重要と考える点を例示する。 (1)テレビ番組等のサプリメント等スポンサー広告の多過ぎ、またインフルエンサー広告は全く無意味、(2)ネット広告・ターゲット広告…

第二次米国政府の責任ある企業行動に関する国家行動計画(U.S Government’s National Action Plan)の概要

3月25日、バイデン・ハリス政権は、(1)人権と労働者の権利の尊重を強化および改善し、(2)グリーンエネルギーの利用を拡大、(3)汚職に対抗、(4)環境を保護、(5) 人権擁護者を保護、(6)ジェンダー平等と平等を推進し、(7)権利を尊重したテクノロジーの使用を促…

フランスの競争委員会の超巨大IT企業Googleへの著作隣接権を中心とする法的チャレンジの経緯

筆者はフランス競争委員会(以下、「委員会」という)のGoogleの市場支配的活動やフランスのAFP等報道機関等から出されていた著作隣接権(droits voisins))に基づく厳しい制裁措置につき本ブログで紹介した。 そこで引用されている2020年4月9日の委員会決定、20…

欧州委員会のApple に音楽アプリ市場における支配的地位を濫用につき18 億ユーロ、フランス競争委員会がEUのメディア規制とAI利用をめぐる規制違反につきGoogleに2億5000万ユーロの罰金

これらについては、わが国メディでも紹介されているが、いずれの内容も巨大IT企業の独占的企業活動の法的規制策の効果的行動を論じるには不十分であるといえる。例えば、フランス独立行政機関である競争委員会(Autorité de la concurrence:わが国の公正取引…

米国内外でのトランプ裁判の全体像について鳥瞰図かつ法的に詳しい解説に挑戦

Last Updated: March 17,2024 すなわち内外のメデイア記事の多くがトランプ裁判につき、誹謗中傷合戦を紹介しているものの、一部の米国のロースクールを除き法的点からの詳しい解析はほとんど行っていない。 メデイアではトランプ氏やトランプ・オーガニゼー…

わが国のAI立法の在り方を見据える観点からEUのAI規則案(AI法案:Artificial Intelligence Act)の最終段階を改めて探る

Last Updated:March 14, 2024 EU欧州議会は3月14日、史上初の人工知能(AI)法を可決した。 この法案は議員の85%の賛成多数で可決された。 AI システムがプライバシー、人間の尊厳、基本的権利を確実に守りながら、AI に関連するリスクを軽減することを目的…

日本における血糖値監視デバイスの利用を巡る米国食品医薬品局(FDA)の警告文書とその意義および健康監視デバイスの新規参入動向

わが国のメデイアでは毎日のように生活習慣病である高血圧や高血糖値の予防が報じられている。その中で、スマートウオッチによる血圧、心電図(注1)等の健康状態のモニタリング機能を宣伝するサイトが多くなっている。 今回のブログは、2018年ころからApple W…

多様化する暗号資産を巡る米英やEUの法制整備と裁判法制の最新動向

筆者の手元に国際的ローファームCleary Gottlieb Steen & Hamilton LLP のレポートが届いた。その要旨は、以下の内容である。 暗号資産業界では2023年中、大きな活動が見られ、2024 年以降も新たな訴訟リスクが生じ続けると予想されている。その背景には、(1…

わが国の確定申告上の暗号資産の扱いの明確化が重要(日米比較)

わが国の2024年提出分の所得税に関する確定申告と納税の期間は、2024年2月16日(金)から2024年3月15日(金)である。 一方、筆者の手元に米国歳入庁の2023年の連邦所得税申告書提出の際に留意すべき「デジタル資産」の扱いに関する注意喚起通知が届いた。 …

オンライン憎悪(online hate)と憎悪犯罪(hate crime)やヘイト・スピーチ(hate speech)の規制強化にかかるEUや主要国の最新立法の動向

筆者の手元に、米国連邦議会の独立補佐機関GAO(連邦議会行政監査局)(注1)から標記レポートが届いた。 この問題は単にオンライン憎悪(online hate)と憎悪犯罪(hate crime)やヘイト・スピーチ(hate speech)の規制強化の問題ではない。先に筆者が論じたデジタ…

米国の金融監督機関の暗号資産市場の急速な拡大とそのリスクに対する規制強化にかかる共同声明の内容

筆者は暗号資産の SECやCFTCの規制強化について1月28日付け本ブログで取り上げたが、連邦準備制度理事会 (Federal Reserve)、連邦預金保険公社 (FDIC)および通貨監督庁 (OCC) (総称して各監督省庁) は、去る1月 3日、銀行組織における暗号資産のリスクについ…

米国のGAO(連邦議会行政監査局)によるデジタル・フォレンジック技術・アルゴリズムの評価と更なる課題レポートおよびデジタル・フォレンジックに関する研究機関の最新情報

筆者の手元に、邦議会独立補佐機関GAO(連邦議会行政監査局)(注1)から「デジタル・フォレンジック技術・アルゴリズムは犯罪捜査に利点をもたらすが、一方で、攻撃の痕跡や手法などの技術的解析から、攻撃者の意図をめぐる地政学的背景まで、多様な状況証拠…

米国SECは17億ドルの暗号資産ピラミッド計画「ハイパーファンド」創設者とトッププロモーターを詐欺容疑で起訴 詐欺的な暗号資産スキームに対する厳しい警告

米国の証券取引委員会(SEC)は1月30日、世界中の投資家から17億ドル(約2,499億円)以上を調達したハイパーファンド(HyperFund)として知られる詐欺的な暗号資産ねずみ講(pyramid scheme)に関与したとして、シュエ・サムエル・リー(Xue Samuel Lee a/k/a Sam Lee…

世界の平和にとって1秒たりとも気が抜けない激務を担うオースティン国防総省長官の緊急入院・手術を巡る米国の軍事・防衛態勢の継続・維持問題

Last updated:January 29,2024 筆者の手元に米国防総省からのリリースが複数届いている。要約すると国防総省オースティン長官(70歳)の前立腺がんによる緊急人院とその後の回復、トップ軍幹部の動向、野党共和党を含むホワイトハウスへの批判、国防長官の執…

米国のデジタル資産のSECやCFTCの規制状況

Grenn Growthのレポート「Crypto and the Law: SEC, CFTC, and State Jurisdictions Explained」を抜粋、仮訳する。 このレポートはローファームやロースクールでないことから必ずも読者向け補足説明は十分でない。筆者の判断で注書き等補足した。 なお、商…

米商品先物取引委員会(CFTC)の顧客宛て勧告:人工知能(AI)詐欺に注意するよう広く国民に警告

AI

米国の証券取引の監督機関であるSECや商品先物取引委員会(CFTC)の顧客教育・支援局 (OCEO)などからAI利用を謳う詐欺行為に対する消費者宛て注意勧告が頻繁に出ている。 今回のブログは、まず(1)AI詐欺被害に遭わないためには消費者は如何なる点に留意すべき…

FBIシャーロット現地事務所は年末年始のホリデー休暇中にセクストーション未遂が増加する可能性があると警告

サイバー犯罪たるセクストーション(Sextortion)につき、米国や中国、フィリピンなどでも被害が確認されている。「性的な」という意味の「セックス(Sex)」と「脅迫・ゆすり」を指す「エクストーション(Extortion)」を合わせた造語で「性的脅迫」と訳され…

米HHS・FDA(食品医薬品局)は北米・中南米の地域統括会社たるオリンパス・コーポレーションは火傷や火につながる可能性があるため、気管支ファイバースコープと気管支ビデオスコープをリコール

筆者の手元に米国連邦保健福祉省(HHS)傘下の食品医薬品局(FDA)のリコール通知が届いた。筆者は、かつてブログでオーストラリアの競争・消費者委員会(ACCC)によるエアバックの安全リコールを取る上げたことがあるが、今回のリコール対象は医療機器である。 こ…

2024年秋の米大統領選挙や同年3月の一部裁判の連邦最高裁判決等を控えスピードアップするトランプ裁判の動向と争点

12月に入りトランプ前大統領に関する裁判の動向に関する米国メデイアの報道に動きが顕著になっている。筆者は本ブログで一部取り上げたが、やはり断片的メデイア情報では不十分であり、わが国でも本質的かつ正確な裁判解説が必要と考えた。 その結果、やはり…

米大統領令(EO: Executive Order 14110)の具体的内容と意義およびそれに基づく責任の履行を支援するためNIST「情報提供依頼文書 」の具体的内容

AI

筆者は、12月6日の本ブログで2023年10月30日の大統領令(EO: Executive Order 14110)(以下、「EO」という)を受けたNISTの具体的行動につき「 NISTからこのほど公開された「 NIST SP 800-226 草案」および「差分プライバシー保証を評価するためのガイドライン…

二ューヨーク州上訴裁判所は民事詐欺裁判でトランプ前大統領が申し立てた(法廷で審議中の事柄の)発言禁止令を支持

筆者の手元にピッツバーグ大学ロースクールの2024学年度法務博士課程(J.D. Candidate)(筆者注1)のローレン・バン(Lauren Ban)氏のJURISTレポートが届いた。専門家がゆえに原データとのリンクがしっかりできており、わが国でも参考になりうる法律レポートとい…

NISTからこのほど公開された「 NIST SP 800-226 草案」および「差分プライバシー保証を評価するためのガイドライン草案」に対するパブリックコメントの背景と意義

2023.12.12 筆者の手元にNIST(注1)からこのほど公開された「 NIST SP 800-226 草案」および「差分プライバシー(differential privacy) (注2)保証を評価するためのガイドライン草案」に対するブリックコメントの要請メールが届いた。 今回のブログは、まず(1)…

米司法機関はバージニア州東部地区地方裁判所でロシアの軍人、ドネツク人民共和国の軍人ら4人に対するロシアによる侵攻後のウクライナでの米国人への拷問等につき米国「戦争犯罪法」に基づく初の容疑で告訴

12月6日の連邦司法省リリースは、バージニア州東部地区地方裁判所でロシア軍人やドネツク人民共和国軍人計4人を戦争犯罪容疑で告訴したが、その容疑には、2022年2月のロシアによるウクライナへの全面侵攻後のウクライナでの米国人への拷問、非人道的な扱い、…

北朝鮮のサイバー脅威対策に関する日米韓三極外交作業部会の初会合の意義とわが国の外務省のリリース内容の在り方を検証する

12月7日、2023年8月のキャンプデービッドでの日米韓三か国首脳会議に引き続き、日本は朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)によるサイバー脅威に対抗するため、「日米韓三極外交作業部会」の初会合を主催した旨米国務省からのリリースが筆者の手元に届いた。 その…